自分の人生は自分で責任を取りたいから今後も基本はフリーで活動します

　自らが女優として表舞台に立つだけではなく、女優や俳優、アーティストを主役にしたイベントの企画と主催を手掛け、「女優水族館」などヒット企画を連発する麻衣阿さん。生き残ることが難しい芸能界では事務所に〝庇護〟されながらの活動が基本だが、なぜ彼女はフリーという、敢えて茨の道を選び続けるのか。そして、〝女優企画仕掛け人〟が見据える未来の自分とは――。

──女優をしながらタレントが出演するイベントの企画と主催を始めたきっかけから教えてください。
「実は去年出演した舞台で女優としてだけではなく、制作やキャスティングに照明と裏方の仕事もしたのに、女優としてのギャラしか支払ってもらえなかったんです。千秋楽から２ヶ月経ったら『裏方のギャラなんて支払えない』と言われてしまって、今も未払い総額が40万円あります。この世界は口約束が反故になるケースもあるので、だったら自分で企画すればこういったトラブルに巻き込まれずに済むかな、と思ったのがきっかけです」

──企画の立案方法は。
「まずは自分自身が出演したいと思える企画を考えることからスタートします。だから初回は必ず私も出演しているんです。あと、私の母が画家で幼い頃からアートや美しいものに影響を受けているので、自分もアートの一部になれるような内容にしています。かつ、例えば女優さんがメインの企画なら、女として消費されて終わるだけではなく、出演者にもメリットがある企画を心掛けています」

──ＳＮＳを使ってご自身でキャスティングもしていますが、大変ではないですか。
「ＭＡＩＡ ＳＴＡＲＳＨＩＰは法人化していないし私はフリーだから、最初は半分ぐらい返事が来ませんでした。去年は80人に声掛けして成功したのは８人でしたし。ツイッターをブロックされたこともありましたけど（笑）自分にも怪しげなオファーが来るから気持ちが分かるんですよね」

──麻衣阿さんにも怪しげなオファーが!?
「来ますよ。『金蹴りしてほしい』という依頼があって、お金を蹴るなんて不謹慎で嫌だなと考えていたら蹴るのは男性の局部だったり。『脚をひたすら撮影させて』という依頼もありました。 きっとほかの子も同じような経験をしてるから、オファーをする時は、かしこまりすぎず丁寧に話すことを意識しています。有り難いことに銭湯撮影会『女優風呂』が演者さんに好評で、少しずつ信頼を得ている感じですね」

──10月には『碧輝うろこ×女優俳優切り絵展』も開催しましたが、碧輝さんは知り合い？
「いいえ。気になるアーティストと女優や俳優、イラストレーターをジャンルごとにリストアップしていて、その中からお声掛けしました。アートと美を繋げて面白いことがしたいと思い立って考えた企画なんです」

──12月には舞台『月喰マスカレイド』のプロデュースも。脚本と演出が松澤くれはさんというのがすごいですね。
「一度、松澤さんの舞台に出演させて頂いてから私の活動に興味を持ってくださったんです。『女優俳優水族館』で女装して襦袢を着て出演したら、松澤さんがトップの売上でした（笑）衣装はロンドンで勉強中で、私が大好きなデザイナーさんに依頼済みなので、幻想的なビジュアルになるはずです」

──芸能事務所から「所属しないか」と声を掛けられることもあるそうですが、今後は？
「今はナレーション事務所と業務提携しているんですけど、自由にさせて頂いているので、今後もやっぱり基本はフリーで活動したいです。事務所に所属して仕事がない時に、事務所やマネージャーのせいにしたくない。自分の人生の責任は自分で取りたいんです。それからプロジェクト名の一文字はドイツで貿易業を営んでいた父の会社から受け継いだんですけど、私の仕事が軌道に乗ってきたので、父に親孝行することも目標の１つですね」